あなたは、ブランドという言葉をよく耳にされていることと思います。
このブランドの保護を目的としているのが商標法であり、この法律に基づいて商標権が発生します。商標権をすでに保有している場合、自分の保有している登録商標と同一又は類似する商品名又はサービス名で、第三者が商品を販売し又はサービスを提供しているとき、第三者のそのような行為が自己の商標権を侵害しているかどうかを判断する必要があります。
そして、第三者の行為が商標権の侵害である場合にはあなたのブランドイメージが傷つけられる前に必要な手続きをとる必要があります。
以下に、あなたの大切な登録商標と同一又は類似するブランドを見つけた場合にとるべき対処法を説明します。
(1) あなたの保有する商標権が存続しているかを確認する。
「自分の商標権が存続しているかどうかを確認する」というと、「そんなことないで!」と笑われる方もいらっしゃると思います。
商標権は登録日から10年で満了し、商標権を継続して保有したい場合には、存続期間を更新するための申請をする必要があります。商標権の満了時期の管理をきちんと行っている場合は改めて確認する必要はないですが、そうでない場合には、まず、行動を起こす前に、商標権が存続しているかを確認する必要があります。
(2) 第三者のブランドと登録商標を比較する。
登録商標と第三者のブランドが同一又は類似していることが必要です。登録商標と第三者のブランドが類似しているかどうかを判断することは専門家でも非常に難しいケースが多々あります。
登録商標と第三者のブランドが類似しているか否かの判断は、例えば、下記の要領で行われます。
登録商標(ブランド)が文字から構成されている場合、登録商標(ブランド)全体から生じる読み方はもちろんのこと、登録商標(ブランド)を構成している文字や図形の中でどの部分が注目されるかについても検討する必要があります。この部分が登録商標(ブランド)の要部となります。
例えば、鉛筆の商品名が「ABC鉛筆」であった場合、需要者が鉛筆を選ぶ時に、商品名中の「鉛筆」に注目しないですよね。なぜかお分かりだと思います。「鉛筆」に注目しても、どこの会社から販売されている鉛筆か区別できないからです。「ABC鉛筆」の場合は、「ABC」に注目して需要者は鉛筆を選択、購入します。そうです。「ABC鉛筆」の場合、要部は「ABC」となり、「エービーシー」という読み方も発生すると判断されます。
そして、登録商標から生じる読み方と、第三者のブランドから生じる読み方とを比較して、両者が類似しているか否かを判断します。
(3) 登録商標を登録している商品と第三者の商品を比較する。
商標を登録するには、商品を特定する必要があります。商標を登録するときに特定した商品と、第三者が使用している商品とが同一又は類似している必要があります。
例えば、あなたが商品「婦人靴」について登録している場合、第三者の商品が「紳士靴」である場合、商標登録に係る商品と、第三者の商品とは類似しているといえます。
一方、あなたが商品「婦人靴」について商標登録している場合、第三者の商品が「菓子」である場合、商標登録している商品と、第三者の商品とは非類似であるといえます。
(4) 商標権を侵害している第三者への告知
あなたが保有している登録商標と、第三者が使用しているブランドとが同一又は類似し、且つ、あなたが商標登録している商品と、第三者が使用している商品とが同一又は類似している場合、第三者はあなたの商標権を侵害していると考えられます。
このような場合、第三者にあなたの商標権の存在を知ってもらい、その行為を停止してもらう必要があります。
第三者に上記事実を告知する方法は特に法律上、定められている訳ではありません。相手を知っている場合には口頭で告知しても構いません。
しかし、口頭の場合には、告知しても、相手が真摯にその事実を受け止めず、うやむやにしてしまうケースがあります。また、口頭の場合にはその事実を後日、証明することが難しくなりますのであまりお勧めできません。
したがって、通常は書面にて相手に告知することになります。更に、どのような内容を相手に告知したかを証明できるように内容証明郵便にて告知することが通常行われております。
(5) 第三者が使用を停止しない場合
あなたが第三者に対して商標権の侵害の事実を告知しても、第三者が使用を停止しない場合には裁判所に訴訟を提起することになります。
裁判所の管轄は、大阪地方裁判所又は東京地方裁判所となります。この手続きは専門家でないと難しい場合が多いので、弁理士又は弁護士にご相談するのがいいと思います。