吉本興業「面白い恋人」が使用差止請求を受ける

吉本興業「面白い恋人」が使用差止請求を受ける山本特許事務所 │ 大阪・阿倍野区吉本興業社と、この子会社であるよしもとクリエイティブ・エージェンシー社など3社が、「白い恋人」というブランドの菓子を製造、販売している石屋製菓からロゴマークの使用差止を求める訴訟を札幌地裁に提起されたようです(時事ドットコム11月28日)。現時点において訴状の内容は確認できませんが、時事ドットコムの記事からは次のように推測することができます。

石屋製菓社は、登録商標「白い恋人」(商標登録第1435156号、指定商品「菓子及びパン」)などを保有しております。一方、吉本興業は、商標「面白い恋人」を菓子「ゴーフレット」に使用していたようです。 石屋製菓社の主張としては、登録商標「白い恋人」と、吉本興業の使用している商標「面白い恋人」とは、「白い」と「面白い」の点で相違するものの、登録商標「白い恋人」が周知・著名な商標であることを考えれば、「面(オモ)」の有無が両商標の類否判断において与える影響は軽微であり、「白い恋人」と「面白い恋人」とは称呼上、類似し、「面白い恋人」は商標権を侵害するとの主張が考えられます。

また、不正競争防止法に基づく主張もなされているようであり、商標「面白い恋人」を菓子「ゴーフレット」に使用することは、周知な登録商標である「白い恋人」と混同を生じさせる行為である(第2条第1項第1号)という主張、又は、商標「面白い恋人」を菓子「ゴーフレット」に使用することは、著名な登録商標である「白い恋人」を冒用するという行為であるという主張(第2条第1項第2号)が考えられます。

一方、吉本興業社は、子会社である株式会社吉本倶楽部の名義で商標「面白い恋人」を指定商品「菓子及びパン」について商標登録出願(商願2010-66954)しておりましたが、特許庁の審査において、『「白い恋人」のもつ顧客吸引力に便乗するものと推認されるものであって、更に商標登録することによって、その名声や顧客吸引力の希釈化を進めるおそれがあるものといわざるを得ない。』という理由で平成23年5月31日付で拒絶査定となっております。 特許庁のホームページで審査経過を確認しましたが、拒絶査定不服審判は請求されていない模様で、拒絶査定が確定した可能性が高いです。 「面白い恋人」は非常に人気があった商品のようであり、販売総額も高額になっていると思われ、損害賠償額の点も含めて今後の裁判の行方が注目されます。

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2011年11月29日 | カテゴリー : blog, brand | 投稿者 : yama