もしかしてあなたの故郷の方言が…!?商標登録が生み出すブランド戦略のヒント

最近、この方言をブランド化して地域振興に役立てようとする動きがあります。
たとえば、方言「幸せます」をブランド化して地域経済の活性化を図ることを目的に防府商議所が商標登録出願を行ったことが報道されております(山口新聞 2011年4月23日 掲載)。

そこで、方言がこれまでにどの程度、商標登録されているかざっくり調べてみたところ、次のような方言が商標登録されていました。

地域 方言 意味 商標登録番号
北海道 なまら とても/すごく 登録第5102240号
登録第5023811号
青森県 じょっぱり 意地っ張り/頑固者 登録第1042071号
登録第1200205号
登録第1804588号
山形県 初会/あ・あい こんにちは 登録第4886857号
富山県 きときと 新鮮な 登録第2201912号
登録第5204894号
長野県 やくやく わざわざ 登録第5367399号
群馬県 おったまげた 驚いた 登録第4924302号
石川県 あんやと ありがとう 登録第5368801号
愛知県 やっとかめ 久しぶり 登録第4538973号
登録第4565184号
京都府 はんなり 落ち着いた華やかさを持つ様 登録第2385821号
登録第2519385号
登録第4338206号
など多数あり
ほっこり いかにも暖かそうな様 登録第4368512号
登録第4416198号
登録第4995211号
など多数あり
大阪府 おおきに ありがとう 登録第2446344号
登録第4713104号
登録第5132611号
なんでやねん どうして?/あり得ない 登録第4213653号
登録第4691596号
登録第4793857号
など多数あり
べっぴん 美人 登録第1391500号
登録第2633096号
島根県 だんだん ありがとう 登録第2657883号
登録第4360148号
登録第4790088号
など多数あり
山口県 おいでませ いらっしゃい 登録第1344328号
登録第4837386号
登録第5069831号
熊本県 もっこす 意地っ張り/頑固者 登録第2200753号
登録第4450807号
とっとっと 取ってあるよ 登録第3309443号
登録第4196771号
佐賀県 がばい とても 登録第5036807号
長崎県 せからしか しつこい/うざったい 登録第5235659号
登録第5385636号
宮崎県 よだきい 面倒くさい 登録第4502046号
てげてげ 適当に/ほどほどに 登録第4618210号
大分県 いいちこ 良いですよ 登録第1495849号
鹿児島県 おいどん 一人称の人代名詞。わがはい。 登録第4740785号
登録第4824236号
登録第4922554号
など多数あり
沖縄県 なんくるないさ 何とかなるさ 登録第5121865号
ちゅらさん 美人 登録第4474021号
登録第4474022号
登録第4474023号
など多数あり
めんそーれ いらっしゃい 登録第2499673号
登録第4252312号
登録第4579304号
など多数あり
海人 漁師 登録第2480712号
登録第4479463号
登録第4479486号
など多数あり
ハイサイ こんにちは/元気にしてる? 登録第5065337号
登録第5113976号
登録第4921694号

そもそも、方言は商標登録されるのか

商標法には、商標登録されるための要件が多数、規定されており、方言を商標登録しようとする場合に、特に気をつけたい要件が二つあります。

  • 一つ目が、「商標を使用したい商品(サービス)の品質(質)を直接、表示したものでないこと」(商標法第3条第1項第3号)
  • 二つ目が、「商標を使用したい商品(サービス)の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがないこと」(商標法第4条第1項第16号)

したがって、商標を使用したい商品(サービス)の品質を直接、表示したものでない場合や、商標を使用したい商品(サービス)の品質の誤認を生じさせるおそれがなく、その他の要件を満たしている場合には商標登録されます。

また、今回は聞き覚えのある方言で単語そのものが登録となっているものをピックアップしましたが、他にも「方言+普通名称」といった風に登録されているものも多数あります。

方言を使ったブランド戦略

方言は、ある地域において昔から使われていた又は使われている言葉であり、地域に密着したものであるので地域経済の活性化が望めること、方言自体が全国的に良く知られていることもあり、お客さんに覚えてもらいやすいことが考えられます。
また、方言には、一言では言い表し難いような人情み溢れる言葉も多く、出身地の違う幅広い層に親近感を与えているように思います。
自社ブランド構築・展開の一つの手段として効果的といえるでしょう。

しかしながら、一言に方言といっても、大阪弁の「おおきに」のように現在においても頻繁に使用される語から、現在では殆ど用いられることがなく地元の人でさえ意味が分からない方言まで色々とあります。
そういった多種多様な方言の中から、方言の持つ意味と商品(サービス)との関係、現代社会における方言の認知度合いも考慮に入れ、自社ブランドのポリシーに適した方言を選択することによって、より親しみやすく受け入れられやすいブランドの構築が可能となるのではないでしょうか。


方言は標準語とは異なり、やわらかい印象がありますので、私は大好きです。旅行先で地元の方が方言でお話されると、ほっとした気分になりますね。
最後に、長文を読んでいただいて ほんまにおおきに!

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2013年1月24日 | カテゴリー : blog, brand | 投稿者 : yama