セロテープだけではありません。カップヌードルやサランラップ、ラジコンにプラモデル・・・全て登録商標です。
このように、特定企業の商品名でもって物を特定していることがよくあり、それらを用いることが気付かないうちに商標権を侵害している場合があるのです。
例えば、人に買い物を頼む場合に同種の商品の代表例として「○○(登録商標)」を例示するようなときは問題ないのですが、企業が自社製品を販売するにあたって、パッケージなどに他社の登録商標であることを知らずに登録商標を用いてしまった場合には、商品の販売停止や損害賠償の請求を受けるといった大変な事態を引き起こします。
以下に、日常、よく用いられているが、実は登録商標であるという著名商標を一例として集めてみました。
登録商標 | 登録番号 | 普通名称 |
---|---|---|
セロテープ | 第546229号 | 粘着テープ |
ウォークマン | 第2694255号 | ヘッドホーンステレオ |
カップヌードル | 第1251256号 | かっぷめん |
チキンラーメン | 第2685160号 | 即席ラーメン |
アクアラング | 第494878号 | 潜水呼吸具 |
味の素 | 第411295号 | 化学調味料 |
エアーシューター | 第1819006号 | 気送管 |
エレクトーン | 第529966号 | 電子オルガン |
亀の子たわし | 第40676号 | たわし |
サランラップ | 第706999号 | ラップフィルム |
クレラップ | 第2583206号 | ラップフィルム |
ジープ | 第2511982号 | 自動車 |
セメダイン | 第1813406号 | 接着剤 |
テフロン | 第1644721号 | ポリテトラフルオロエチレン |
ドルビー | 第1222283号 | 録音雑音低減回路 |
バンドエイド | 第1537538号 | 絆創膏 |
プラモデル | 第555762号 | プラスチックモデル |
ポリバケツ | 第1874488号 | バケツ |
マジックテープ | 第1328163号 | 面ファスナー |
ラジコン | 第482788号 | 無線操縦 |
フリーダイヤル | 第3003359号 | 受信者負担による電話サービス |
シーチキン | 第529904号 | 加工水産物 |
のりたま | 第2055312号 | ふりかけ |
トレーナー | 第819302号 | 被服 |
レーザーディスク | 第1637043号 | 記録済ビデオディスク |
著名商標となると、多くの方が類似の商品の総称として登録商標を用いることが多くなり、商標権者の登録商標の管理が悪いと、普通名称化してしまうことも多くあります。
特に、商品が今までになかったもので人気を博しているような商品である場合や、長年に亘って親しまれている商品である場合には、その傾向が強くなります。
※登録商標の普通名称化とは、特定の企業の商品やサービスであることを示していた登録商標(ブランド)が、例えば、同業者が登録商標(ブランド)を使用しているのを放置していたために多くの同業者が登録商標を使用するに至るなどの理由で、登録商標を用いていた同種類の商品やサービスを示す普通名称となってしまうことです。
次に、普通名称化した登録商標の一例を列記しました。
普通名称化した商標
特許庁により普通名称との判断が示されているもの
登録商標 | 番号 | 普通名称 |
---|---|---|
サニーレタス | 昭和57年審判第2936号 | レタス |
ポケベル | 昭和62年審判第15568号 | 無線呼出用携帯受信機 |
裁判所により普通名称化したとの判断が示されているもの
登録商標 | 番号 | 商標権者 |
---|---|---|
うどんすき | 商標登録第553621号 | 美々卯 |
正露丸 | 商標登録第545984号 | 大幸薬品 |
商標権を保有している方は自己の登録商標の管理を怠らないようにし、第三者が自己の登録商標を用いている場合には、弁理士などの専門家とも相談して警告書を送付するなどの措置を講ずることも必要でしょう。
商標権が存続していないもの
過去に商標登録されていたが、現在は消滅してしまっている商標を一例として以下に列記しました。
登録商標 | 普通名称 | 商標権者 |
---|---|---|
エスカレータ | 自動式階段 | 米オーチス社 |
ホッチキス | ステープラー | イトーキ |
メカトロニクス | 機械工学と電子工学が融合した学問・ 技術分野を示す一般的名称 |
安川電機 |
ホームシアター | 八欧電機株式会社 |
これらは一例であり、全てではありません。
普通名称化に関するwikiやまとめたサイトなどもありすが、誤った認識の物も多いです。
というのも、判断が難しいものも多く、実際にはまだ商標権が生きており、商標権を持っている会社(または個人)が何らかの理由により争いごとにしていないケースがあります。
これらは裁判などにより結論が出ない限り「確かに普通名称化されました」とは言えません。
注意されないから使ってよい、そういうわけではありません。
先だっての『面白い恋人』の訴訟も良い例ではないでしょうか。